金銭債務の特則とは?
債権回収のために入れておきたい金銭債務の特則
民法第419条3項は、金銭債務の債務不履行について、債務者は不可抗力をもって抗弁とすることができないと規定しています。
これは、金銭債務については、損害の発生が容易に予測できるため、損害額を事前に確定しておくことで、債権者保護と債務者負担の均衡を図ることが必要であると考えられ、不可抗力による抗弁を否認することで、債権者保護を図ることを目的としています。
したがって、金銭債務の債務不履行について、債務者は、不可抗力があったとしても、債権者からの損害賠償請求を免れることはできません。
ただし、契約書において、不可抗力による抗弁を認める特約を定めている場合は、この限りではありません。
例えば、契約書において、不可抗力による債務不履行を理由として、債務者の損害賠償責任を免除する旨の特約を定めている場合、債務者は、不可抗力があったとしても、債権者からの損害賠償請求を免れることが可能となります。
なお、不可抗力とは、通常の注意を払っていても避けることができない事由をいいます。具体的には、地震や洪水などの自然災害、戦争や暴動などの社会不安、政府の命令や規制などの行政行為などが不可抗力として認められる可能性があります。
ただし、不可抗力であったとしても、債務者がその事由を回避するために合理的な努力を尽くしていれば、債務不履行の責任を免れることは可能です。